暮らしのコラム

耐震等級3にすると、吹き抜けが出来ませんよ。

という言われました、、とご相談をいただく場合があります。

 

これって、

どうしたら、吹き抜けが構造上適切か、という判断ができない場合に起こってしまうのかな?

というように感じました。

もちろん、やみくもに吹き抜けを作ることは難しいと思いますが、

一定のルールをもって設計をすることにおいては、

耐震等級3においても、吹き抜けを設計することは可能です。

  

耐震性と吹き抜けについて整理をするためにも、

コラムにまとめてみました。  

 

吹き抜けは、開放感があることにも加えて、

2階建ての場合、吹き抜けと階段を介して、1階の温熱を2階に循環させることができ、

吹き抜け越の高窓から、1階に「冬場の暖かい日差し」を差し込ませるためにも、

パッシブ設計の中では、重要な設計要素だったりします。

 

 

「吹き抜けを採用する際の注意点」をしっかりと把握しておくことは

設計する建築士はもちろん、

建て主である、住まい手も理解をもって、共有した状態が重要かと思います。

 

吹き抜けにする場合の弱点が、わかっていると、

建築主も、設計者も、「この範囲までであれば、大丈夫なんだ」という目安にもなり、

「吹き抜け自体が、ダメ」ということになりにくいかと思います。

ただし、

最終的には構造を検証するための「計算」によって、根拠をもって最終決定することが重要です。

 

これから示す内容も、

もちろん、構造計算(許容応力度計算)で、クリアすることもできますが、

どうしても、チカラ技になりやすいので、建物にも負担がかかってしまいます。

 

テクニック的には、

火打ち材という、材料を入れることによって、

建物の変形を止めることも有効ですが、

入れるべき本数が設計の構造計算によって決まります。

 

一か所入れたくらいでは、火打ち梁はあまり効果が発揮できないのです。

 

あくまで、基本の考え方があって、

構造の計算によって、根拠を確認して、

それを元に、現場を設計図面通りに作っていく。

これらが大切です。

構造を自社で設計する英設計では、それらの作業を、

自社で一貫して行います。

 

2階の間取りを、簡略して描いたものでご説明します。

 

水色の部分が、吹き抜けとした場合です。

 

大きく分けると、

左側 2つ と 右側 3つ に分類されます。

左側 2つの分類は、 吹抜の後ろに「赤い斜線」部分があり、

右側 3つの分類は、 吹抜が、2階の間取りの「端から端」まで突き抜けている。

という状態です。

 

左側2つの分類では、

「赤い斜線」部分が、吹き抜けを支える部分となり、

2階の床の端から端まで、つながることをせず、

限られた部分で吹き抜けを構成しています。

 

この赤い斜線部分の分量と、吹き抜けの大きさは、

構造の「計算」を行うことで、

はじめて、大きさの最終決定をすることができます。

 

右側 3つの分類もに対して、

「火打ち梁」という材料を入れることで、吹き抜けを強化することもできますが、

前述のとおり、火打ち梁は、入れるべき本数が設計の計算によって設定されます。

それらを満たさない本数の火打ち梁では、あまり効果が望めないのが本当のところです。

   

つまり、

吹き抜けと、耐震等級3の両立を図る場合、

下記の写真のような分け方になります。

実際に、

自社で構造の計算をしていると、

計算途中で、吹き抜けが大きすぎることによるNGが発覚することがあるので、

吹き抜けと、吹き抜けを支える床面のバランスを検証しながら設計させていただいています。

 

吹き抜けを活用しながら、明るく開放感があって、

温熱的にも循環できる住まいの設計を体感してみませんか。

 

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